なるほど 12
五色…生活に密着 慶弔事に
五月五日の端午の節句が近づくと、こいのぼりとともに五色の吹き流しが風にたなびく。
また、七夕には五色の短冊に字を書いてささにつけて飾る。この七夕にはもともと五色の
糸を織女星に手向けたのが、五色の絹布にかわり、さらに今日の五色の紙の短冊になった
のである。このほかにも寺院の法会にも五色の幕が張られるし、生活の中で五色はなじみ
深い色である。
◆中国の「五行説」が由来
この五色は、中国古来の学説である「五行説」にのっとっている。五行説というのは、
天地の間に循環する万物組成の元素として、木・火・土・金・水の五つがあるという説
である。これは木から火を、火から土を、土から金を、金から水を、さらに水から木を
生ずるという考えにもとづいたものである。
これにより五色も設定された。それが青・赤・黄・白・黒である。さらに道徳として
の仁・礼・信・義・智が設定された。すなわち、青は木と仁、赤は火と礼、黄は土と信、
白は金と義、黒は水と智を表すのである。このように五色は五行を表したわけだが、のち
には五色の上にこれらの色を統括する最高の色として紫をおき、これを尊んだ。そうした
ところから、紫の色をつけるとよいとされ、紫色の布団に寝ると長生きするといわれる
ようになった。こうして紫色は徳のある色、上品な色、縁起のよい色とされた。
昔の女学生の袴(はかま)の色は紫だったので「紫衛門(むらさきえもん)」といい、
また「紫足袋」といって、紫色に染めた革足袋は女性がハレの日に履くものとされていた。
さらに紫色の雲はめでたい雲といい、「紫雲」と呼ばれた。また、中宮・皇后の異称を
「紫の宮」ともいった。僧侶の衣も紫色が最高位を示すものとされた。
紫色の衣についていえば、歴史上有名な「紫衣(しえ)事件」というのがある。紫衣は
高徳の僧尼にたいして天皇が勅許をもって与えるものであったが、寛永四年(一六二七年)
に大徳寺・妙心寺の僧への紫衣着用勅許にたいして、幕府が無効としたため、大徳寺の
僧沢庵宗彭(たくあんそうほう)らが幕府の処置に反対したため処罰されたという事件
である。それほど紫衣は最高位の衣であった。
◆紅白や黒白の幕
それはそれとして、吉事には赤と白すなわち紅白の幕を張り、紅白の水引をかけて贈り
物をしたり、紅白のまんじゅうを贈ったり食べたりする。この赤色は五行説でいう火の色
である。火はすべてを焼き払う力をもっている。そのことによって空間のすべてのけがれ
を消滅させる。それは新しい清浄な空間をつくり上げることになる。そのため赤は聖なる色
であると人々は意識している。また赤は太陽の色である。白もまた無垢(むく)で清浄な色
とされた。「白日」という言葉が示すように、照り輝く太陽をいい、赤と同じ意味をもつ。
神社の巫女(みこ)の装束が、赤い緋(ひ)のはかまに白の上衣というのもうなずける
ところである。
黒色も生活の中ではよく使われる。黒は五行説では水として位置づけられていたので
あるが、五色を統(す)べる色として紫がおかれてからは黒が消滅することになり、
しだいにあまりよくない色と意識されるようになった。しかし、実際には女性の美しい髪を
「緑の黒髪」と美称し、一般に僧の日常衣は黒衣で、それは高僧でもそうであった。
そこから出家のことを「墨染の衣」というようにもなった。
仏事や凶事に黒色を用いるようになったのもこうしたことからであろう。そうした場では
また黒白の幕を張るのが通例とされている。この幕が真っ黒でないところに意味がある。
よしあしを明らかにすることを「黒白をつける」というように、黒と白は反対色である。
暗と明であり、陰と陽でもある。黒一色にしないのは、暗のなかにも明を期待する心意が
こめられているのであろう。
ちなみに昔は、雨乞(ご)いには水の神に黒毛の馬を献じ、日乞いは白毛の馬を献じた。
黒は黒雲たなびいて雨を降らせてくれる。
白は白日で晴天をもたらしてくれると考えたのであった。
「ひよ子」の本家はどこ
(Q)
九州にも東京にも銘菓として「ひよ子」まんじゅうがありますが、
どちらが本家本元なのですか。
(A)
ひよ子本舗吉野堂(福岡市)に聞きました。ひよ子は社長の祖父、
石坂茂さんが1912年(大正元)に福岡県飯塚市で売り出したインゲン豆
の一種、大手芒(おおてぼう)豆のあん入りまんじゅうです。飯塚市は炭鉱
地帯で、そこで働く人たちの疲れをいやすための菓子として登場しました。
その後、東京オリンピックの開かれた64年に埼玉県草加市に工場をつくり、
首都圏に進出、85年の東北新幹線上野乗り入れで、東北への土産物として、
売れ行きが伸び始めました。福岡へのお客さんが買って行くことがあるほどで、
駅や空港の売店でも売れ行きはトップクラス。材料や作り方は東西共通です。
ただ、九州には地域限定版で5倍の大きさの「大のひよ子」があります。
白色蛍光灯、黄色く感じる
(Q)
蛍光灯で「白色」と表示されているものは黄色く感じ、昼光色と書いて
あるのは白っぽく感じるのはなぜですか。どう使い分ければいいのですか。
(A)
日本電球工業会と松下電子工業に聞きました。蛍光灯は管の内壁に紫外線が
当たると光る蛍光物質が塗ってあり、その物質によって発光色が変わります。
「白色」というのは日の出後、日没前それぞれ40分、昼光色は曇天時の
それぞれ自然光に相当します。白色は白熱灯に比べればかなり白く、昼光色は
白色に比べ、さらに青みがかかっているため白く見えます。言葉のニュアンスの
問題ですが、「昼光色=黄色」という意味ではありません。
一般的には、白色は和風の部屋に、昼光色は洋風の部屋に向いています。
プッシュホンと電卓のキー
(Q)
電卓とプッシュホンは数字の並び方が上下逆ですが、なぜですか。
(A)
工業技術院とカシオ計算機によりますと、電卓の配列は金銭登録機(レジ)
の流れをくみ、「よく使う1や0が手前にあった方が便利」という理由から、
下から「0、1、2、3…」と並んでいます。72年には日本工業規格(JIS)
でも定められました。国際標準化機構(ISO)の規格ではデータ入力のキー配列
はどちらでもよいことになっていますが、キーを見ずにたたく人も多いことから、
並び方がバラバラだと混乱するため、実際にはすべて同じ方式です。
一方、電話の方は国際電気通信連合(ITU)の勧告で、上から順に並べること
になっています。これはプッシュホンが登場した時、壁掛け式だったことから、
上から並んだほうが自然という判断からだとされています。
ジンクス…不吉な鳥がもたらすもの
古代ギリシャで占いや魔術に使った鳥の名前に由来する。怪しげな感じの
この魔鳥に不吉なものを連想したことから、縁起が悪いことを指すようになった。
英和辞典を引くと、「(人に)不運をもたらす」という動詞の意味も載っている。
ただ、日本語では「左足からスパイクを履くと活躍できる」など、縁起がいい
ことも、しばしばジンクスという。従来はもとの意味に従い、こうした用法は誤り
とする説が多かったが、最近は、いい方の使い方から先にあげる辞書も出てきた。
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