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その他

*凸凹コンビ*




  
いつもと同じはずの朝。
8番隊詰め所。
そこには隊長が情けなく泣き叫んでいた。

「七緒ちゃ〜ん、お願いだからここを開けてよ〜」
「嫌です!!」
「さっきのは悪かったよ〜、これからは真面目に仕事するから〜。
今から一緒に仕事しようよ〜」
「先程の女の人と仕事をしたらいいじゃないですか!!」
「だからあれは社交辞令だよ〜七緒ちゃ〜ん。」

うわ〜〜〜ん、と今度は泣き声つきで泣き出した。
部下達は困って見守るしかなかった。
京楽隊長はまた伊勢副隊長の逆燐に触れたのであろう事は部下の全員にも分かりきった事だった。
どうも、伊勢隊長が中からドアを塞いでいるらしく弁解の余地もないらしい。
部下達はしかたなく台風がすぎる、もとい伊勢の機嫌が直るのを待つ事にした。
しかし、この後の事を考えると早く伊勢には出てきてほしいものだ。
昨日も確か残業で京楽以外(ここ強調)で仕事を片付けていたのだ。
当の隊長は、飲みに行ってたらしいが・・・

「七緒ちゃ〜ん、お願いだから僕の話を聞いてよ〜。」
「先程の女性達に聞いてもらったらいいじゃないですか!!」
「だから、あれは・・・・」

ちりーん。
いきなり京楽の後ろに鈴の音が鳴り響いた。

「なんだ、京楽。また喧嘩か?」
「春ちゃん、おはよ〜☆」
「剣八君、やちるちゃん!!今日は朝早くからどうしたんだい?」

京楽は後ろを振り返る。
京楽の後ろには、でかい封筒を持った更木剣八と剣八の肩に乗った草鹿やちるが現れた。
11番隊、隊長、副隊長コンビが現れて周りの部下は慌てた。
すると、剣八は京楽の前に封筒を差し出した。

「昨日起きた事件の報告書だ。目を通しといてくれ。後、先日頼んでおいた資料はどうなった?」
「資料・・・?」
「剣ちゃん、あの資料は七緒ちゃんに頼んだんだよ。春ちゃんは知らないよ。」
「そうだったか、しかし取り込み中だから伊勢には会えないな・・・」
「みたいだね。七緒ちゃん怒ると手がつけられないから・・・」

剣八とやちるは京楽を無視して話を進めていた。
と、言うか京楽は戦闘以外の仕事にはタッチしていないので、役に立たないと言った方がいいかもしれない。

「あの、資料ってなんだい?」

京楽は申し訳なさそうに、2人の話に割って入った。
2人は京楽の方を見る。

「報告書で使う資料を貸してもらおうと思ってな。先日来た時には仕事が多くて探せないという事だったからな。」
「そうそう、七緒ちゃんが資料の山と戦ってたよね。きっとあれは寝てないよ〜。春ちゃん、ちゃんと仕事してるの?」
「えっと、実は・・・」

京楽にとって『仕事してるの?』と言う質問は禁句だった。
なにせ、今日の喧嘩も半分自分が仕事もせずに、飲みに行っていた事にも原因がある。

「とにかく、このままじゃ埒があかねぇ!お前隊長だろう?伊勢を何とかあの部屋から出してくれ。」
「いや、それは出来ないんだよ。」
「なんでなんで〜?」

やちるが京楽にしつこく詰め寄る。
京楽はたじたじである。
剣八もどうも怒っているみたいだ。
彼は、気が短いタイプだ。
京楽は剣八の威圧感にやられ、しゃべり始めた。

「実は、昨日飲みに行ってたんだ。仕事放り出して。」
「サイテーだね。」

するどいやちるからのつっこみが入る。

「それでね、其処の飲み屋で仲良くなった女の子達と朝まで飲んでいたんだ。」
「朝までか・・・」

剣八は呆れかえって溜息をついた。
まだ、京楽の話は続く。

「それで、その子達に8番隊の隊長だって言ったら、『詰め所に来たい!』って頼まれちゃったんだ。僕もその時酔っていたから、2つ返事でオッケーしちゃったんだ。」
「最悪だね。」

またまたやちるから鋭い突っ込みが入る。
詰め所に一般人を連れてくるのはご法度だ。
いつものかわいい顔が怒りモードになって、眉間に皺がよっている。

「それでね、その子達が『私も死神になって京楽隊長の下で働きた〜いvv』って言われたから、僕、冗談で『君達、みんな可愛いから僕の副官にしてあげるよ〜vv』って言ったんだ。そしたらそれを仕事が終わって息抜きしていた七緒ちゃんに聞かれちゃったんだ。」
「馬鹿だな。」
「馬鹿だね。」

見事に11番隊、隊長、副隊長の声がハモル。

「その後の七緒ちゃんはいつにもまして怖かったな・・・。まずは分厚い資料が飛んできたと思ったら、次には斬魂刀で僕の前髪を切ったんだ。いや、あれは前髪を狙ったんじゃなくて明らかに命を狙ってたと思う。その後、攻撃がやんで七緒ちゃんは詰め所に閉じ篭ったままなんだ。」
「そりゃ、怒るだろうな。」
「え〜!!剣八君僕の味方になってくれないの〜??」
「当たり前だ!!どう考えてもお前が悪い!!」

涙目で抱きついてくる、京楽を剣八は足蹴にした。

「剣ちゃんの言うとおりだよ!!七緒ちゃんは副隊長と言う仕事にすごく誇りを持ってやってたんだよ!!だから、残業も文句を言わずにやって、寝る間も惜しんで働いてたのに・・・それを簡単に『かわいいから副隊長にしてあげる』って言われたら、怒るよ。副隊長が七緒ちゃんじゃなくてもいいみたいじゃない!!」

やちるの言葉が京楽の心に突き刺さる。
よく考えれば、自分は七緒に頼りすぎたのかもしれない。
文句も言わずに仕事をする彼女。
そういえば、最近彼女が自宅に帰るところを見た記憶がない。
実際、昨日飲みにいけたのも七緒のおかげだし、8番隊がもっているのも七緒のおかげだ。
現に、七緒が閉じ篭ってる事で他の隊に資料は渡せないし、部下達も仕事ができない。
そんなに頑張ってる彼女の前で、自分はなんてひどい事を言ったんだろう。

「京楽、後悔してるならすぐに謝れよ。伊勢はそこにいるんだぜ。」
「でも、結界が張ってあって中には入れな・・・」
「結界ぐらいで何言ってんの!!春ちゃんは隊長でしょう??あんな結界簡単に破れるはずだよ!!結界を逃げ道にしないで、早く七緒ちゃんに謝りなよ!!」

京楽のはっきりしない態度に、やちるの喝が入る。

「わかった、頑張るよ。やちるちゃん!!」
「そう、それでこそ春ちゃんだよ〜。」

京楽は脇差2本抜き、体の前で前で構える。
霊力を集中させているのか、周りの空気がピリピリし始めた。
京楽の顔もいつものおちゃらけた顔から、真剣な顔に変わる。
刀を振り上げ、何か呪文を唱える。

ザシュッ。
スパーンッ!!
詰め所の、襖が真っ二になり散らばった。

「七緒ちゃーん、さっきはごめんね〜。僕が愛してるのは七緒ちゃんだけだから許して〜」

京楽は泣きながら、詰め所に入っていた。
その姿は先程刀を構えていた姿と比べてかなり情けない姿だった。(やちる談

バシィィィッ。
ドッシーンッ。
すると、すごい音と共に京楽が吹き飛んできた。
顔には重そうな本がめり込んでいた。

「大丈夫?春ちゃん」

やちるは心配になって、京楽に近づいた。
大丈夫、彼はまだ死んではいなかった。
すると、急に禍禍しいオーラを纏った七緒が詰め所から出てきた。

「七緒ちゃん、どうしたの?」

さすがのやちるもびっくりした。
オーラの所為か、いつもの3割増しで怖い・・・

「あら草鹿さん、こんにちは。あっ、頼まれてた資料遅くなってごめんなさいね。」

七緒はやちるの声に気付き、いつもの笑顔に戻った。
なんだ、気のせいか・・・
やちるはほっとして資料を受け取った。

「ありがと〜う。助かったよ七緒ちゃん。」
「助かるよ、伊勢。」
「いいえ、これぐらい当たり前です。遅くなってすいません。」

剣八もお礼を言う。
ここまで、倒れている京楽を無視して話が進んでいた。
やちるは気の毒に思い、声をかけた。

「七緒ちゃん、何があったの?春ちゃんがいきなり飛んできたんだけど・・?」
「あっ、気にしないで下さい。これは私のはらいせです。これぐらいで済んだだけでありがたいと思ってほしいです。隊長も反省してるみたいですし、今日は本を顔面に飛ばしだけで勘弁しました。」

七緒は笑顔で語っているが、どこか怖かった。

「そっかぁ、仲直り出来てよかったね。やっぱり仲良しが一番だよ。」
「えぇ、そうですね。詰め所に篭っていてだいぶ気持ちが落ち着きました。それにさっきのはらいせで大分すっきりしましたし。」

『やちる、それはどこか間違ってる』と剣八は心の中で突っ込んだ。
それは仲直りじゃない、報復だ。
しかし、女は怒らせると怖いので黙っておく事にした。
この剣八の判断はとても賢明だった。


数日後、京楽に酒と女遊び禁止令が七緒から出されたとか出されなかったとか。
顔面に本の型がついた京楽にその話を聞いた。
『七緒ちゃん、僕の体のことを心配してくれてるんだ〜』
京楽は嬉しそうにそう語った。
いや、きっと違うと思うがな。
喧嘩をよくしている隊だが、案外バランスが取れていいコンビなのかも知れない・・・
剣八は、心の中でそう思った。

END




  
八番隊小説第2段です!!
日常を意識してみましたvv
11番隊は趣味で出演です。
やちるちゃんは京楽の事を「春ちゃん」と呼んでおります。
彼女は他の隊長にもきっとちゃん付け。
でも、かわいいから許してしまうのです。
七緒ちゃんは怒ると怖いです。
でも、普段は我慢していることが多い。
「何で隊長の仕事まで・・」といいながら結局は仕事をやったげる、そんな苦労人です。
ここまで呼んでいただきありがとうございました!!


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